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2013.06.30 エッセイ「労働と個人の責任」 投稿者:松木幹雄

労働と個人の責任

松木幹雄

 まず、労働の意味を考えてみたいと思います。

 労という字は、体を動かすこと。また、その働き。骨折り、心づかいとあります。
 また、働くという本来の字を見てみましょう。人が動くと書きます。人のために動くことといえます。また、「人」と「重い」と「力」とも書きます。人のために重要なことに力を出すことともいえます。
 労働は英語でlabor(レイバー)といいます。原義は、重荷を負ってよろめく⇒苦しい仕事、苦難とありました。人が骨折って働く、苦労して働くことです。社会的存在としての人間が、その生存を維持するための生産を支える活動が労働であります。苦労するということは、汗水たらす肉体的に力をつくすことと、また、経験、知識や創造力からくる精神的な力、知恵を働かせる苦しい思いをすることです。ハタをラクにするため、自分のまわりのために骨を折ることが労働といえます。漢字の意味の深さを感じます。

 この話は経営学者として有名なP.F.ドラッカーの「三人のレンガ積み」話です。
 炎天下にレンガを積んでいる三人のレンガ積みのそばを、旅人が通りかかりました。旅人は、それぞれ三人のレンガ積みに「あなたは何をしているのですか?」と声をかけました。旅人の問いに対する答えは三者三様でした。
 一人目のレンガ職人は「見れば分かるだろう・・・。私は親方の命令でレンガを積んでいるんだ」と答えました。
 二人目のレンガ職人は「私はレンガを積んで塀を造っているんだ」と答えました。
 三人目のレンガ職人は「私はレンガを積んで立派な教会を造っているんだ」と答えました。

 ドラッカーによれば、一人目の職人は、命令でただ働く職工である。二人目の職人は、塀を造る専門の職人である。そして三人目の職人は、教会を造るという「目的」を自分で意識してレンガを積んでいる職人である。ということでした。
 ドラッカーはこの三者三様のそれぞれの答え方の中に仕事の意義・意味をどのように考えるかによって、仕事への取り組み姿勢が違う事を表現しました。
 さらに言えば、仕事の意義・意味をしっかりつかんで働く人は、他者から「やらされている」という発想から解放され、イキイキとした働き方が出来、しなやかに自分の仕事のやり方にも創意工夫をもたらす事ができるのであるとさえ言っています。

 旧約聖書の創世記に登場するヨセフは、当時の超大国エジプトに若くして奴隷として売られますが、決して気持ちが腐らず、神を信じ愛し高潔な生き方を貫き、行き先々で最高の仕事をしました。最後には、エジプトで王の次の大臣になります。奴隷の立場から大臣までの立場に登りつめたのです。

 私達は、働くことを通して生活の糧である収入を得ます。その収入は、仕事の付加価値によって決まるといってよいといえます。アルバイトのような時給制の仕事は、時間に比例してお金を受け取りますが、言われたことをやるだけの単純な仕事が多いのです。また、単純な仕事は、パソコンによるソフト的なものや機械にとって代わられてしまいます。一般的な会社勤めの年収制の人や職人的な人は、豊富な経験、知識と創造性を駆使して、その仕事に付加価値を足して収入を上げることができます。当然、一般的に後者の人たちの方が収入が多いでしょう。また現在は少なくても将来多くなるはずです。創造した価値に比例した収入になってくるはずです。
 また、同じことをやっていても、その人の目的意識やビジョンによって仕事の結果は、異なってきます。人の役に立つ仕事をやる意識や方向性がある人とない人では、同じ仕事をやっていてもそこに差が現れるはずです。当然、仕事に対する質やモチベーションはもちろん、仕事をする人自身の幸福感が違ってきます。そこに、その人の品性といい仕事をやり遂げるという責任感とやり遂げた時の幸福感と誇りが生まれてくるのです。
 労働の結果として顧客の満足・価値と品質を保証することが、責任として出てきます。その責任をしっかりやることで、プロとしての誇り・プライドが生まれてきます。いい仕事をする人は、自然と顔やその人がかもしだす空気が違ってきます。

 終わりに、教会の労働についての一部を紹介します。

 「労働は、個人や家族のための神の幸福の計画の一部です。愛ある父親として神は、労働が人の幸せのために必要だということを御存じでした。
 正直に働くことを通して、私達は、食物・衣類・住居・安全などの物質面での必要を満たすことができます。そして、正直な労働によって、目に見えない必要をも満たすことができるのです。それは、品位や自尊心であったり、意義深い貢献であったりします。
 必要を満たし、意義深い貢献をすることによって、満足感が得られます。労働は、この世の生活に幸せをもたらしてくれるのです。」
「自分は信頼できる人間であり、約束したことを喜んで実行しているだろうか?」

 常に仕事への取り組む姿勢として、この自分への問いがとても重要で大切です。

 これは46年間民間企業に勤務してきた私の想いです。

  • 46年間、お疲れ様でした。
    46年間の長い年月には、いろいろな思いを
    経験されたことと思います。
    ドラッカーの例は初めて聞きましたが、とても
    深い意味があるものですね。
    最後の教会の労働についても、心に残る文章です。
    私も、使命感と達成感を大事にしているつもりです。
    でも、なかなかすぐには金銭に直結しないところが
    つらくもあります。 -- 昼寝ネコ 2013-07-01 (月) 22:10:26

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