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2013.08.22 映画評論「ルキノ・ヴィスコンティ監督の三作品」投稿者:岸野 みさを

Tribute to Ludwig II of Bavaria, Neuschwanstein, Wagner
 
ルキノ・ヴィスコンティ監督の三作品
 
 
岸野 みさを

 フランスのシャルル6世(1368-1422)はバカでアホ王と言われたが、(私が言っているのではありません)貴族で有名な映画監督のルキノ・ヴィスコンティは(1906-1976)彼の子孫である。
 ヴィスコンティ監督の映画では何と言っても原作ドストエフスキーの「白夜」(1957)が有名だ。ヴェネツイア国際銀獅子賞を受賞している。世界の恋人と称されたマルチェロ・マストロヤンニ、マリア・シェル、ジャン・マレーが共演している。
 それに並ぶくらい有名な「夏の嵐」(1954)は、ヴィスコンティ脚本監督で自分の城を使って撮影したという。2作は一見対照的だが恐ろしいほどに女の本質を捉えている。
 「白夜」は男の失恋の極致で「夏の嵐」は女の失恋の極致である。幸せの絶頂で不幸のどん底に突き落とされる前者の男はそれでも主人公ナタリアの幸せを願って、かっての待ち続けていた恋人と立ち去る彼女の姿を見送る。「夏の嵐」の伯爵夫人のリヴィアは男の裏切りを知り、男を密告して銃殺させるが、自分も狂人のように男の名を叫びながら、群衆の中に消えていくというラストシーンだ。
 どちらも一人の男を愛するが故の女の残酷さかも知れないが、マルチェロ・マストロヤンニ扮するマリオの男の愛の方が女のそれよりもステージが上なのかと思う。

 三つ目の作品は昨年ワ-グナー生誕200周年記念として日本でも再上映された歴史大作「ルートヴィッヒ」(1972)である。
ロマンチック街道の旅に行ったとき、ドイツ最高峰ツークシェピッツェ登頂の帰り、シュタルンベルク湖をバスで通ったが、私は眠ってしまって見損ねてしまった。ルートヴィヒ二世が謎の死を遂げた湖である。
 その夜フィッュセンのシュバンシュタインホテルのTVで「ルートヴィッヒ二世」を放映していた。白黒でドイツ語だったが、問題の水死のシーンは、主治医フォン・グッテン博士とボートの中で揉み合って、ルートヴィヒ二世は心臓発作のような状態になって、ボートは転覆した。ルートヴィッヒ40歳、1886年6月13日のことである。今日に至るまで、二人の謎の死は解明されていない。事故、自殺、他殺、と色々な説があるが、どれも証明に欠けているという。
 19歳でバイエルンの王となり、作曲家リヒャルト・ワーグナーのスポンサーであり、そのオペラにちなんで17年間を費やして建築したノイシュバンシュタイン城をはじめ、リンダーホフ城、ヘレンキームーゼ城(小島の中央に在る)を建設して国家財政を破綻させたが、現在ではそのおとぎの城に世界中から観光客を集めて国家財政を潤している。ルートヴィッヒ二世は様々な奇行によってパラノイアの病名がつけられている。
 
 
 

  • ヴィスコンティは著名な方なのに、どの作品も観ていませんでした。アメリカ映画よりは、はるかにヨーロッパの映画が好きなんですが、日本で封切られるのは絶対数が少なく、残念に思っています。思いがけず、ヴィスコンティの作品の概要に接して、有難く思います。

    パラノイアという言葉のい響きには、病的なイメージを持つ人が多いと思います。でも、人間の深層心理や内面で構築された感性が渇望し、あるいは逃避する対象があるというのは、極めて人間的だと思います。私も、その意味ではパラノイアだと思います。半面、どうでもいいという虚無的な側面も併せ持っていますので、自分のコントロールが一番厄介な課題になっています。 -- 昼寝ネコ 2014-08-22 (金) 22:28:03
  • 昨年日本で再上映されたヴィスコンティの「ルートヴィヒ(Ludwig)予告編」は今もyoutubeで観れます。

    4名の医師によるパラノイアの診断名も王の奇行と外観によるものとされているそうですから、現代の医師の診断書とは異なるもので、王位剥奪の陰謀説もあります。
    リンダーホフ城はルートヴィヒ存命中3つの城の内唯一完成を見たロココ調の美しい城ですが、黄金の間に入り実際にこの目で見る限りでは、黄金のまばゆいばかりの輝きに頭がクラクラしてきました。儀式用寝室だということですが、やはり狂王と言われるようにヘンだったのかと思いました。 -- 岸野みさを 2014-08-23 (土) 18:43:27
  • 昼寝ネコさま
    上記書き忘れがありました。かの「シリコンバレーではパラノイヤだけが生き残れる」という名言があることをご存知ですか? -- 岸野みさを 2014-08-23 (土) 18:59:01
  • なるほど。なんとなく分かるような気がします。最近は喧噪を離れて、静かに暮らしたいと思うことも多くなりました。なので、病的なパラノイアではないように思えます。 -- 昼寝ネコ 2014-08-23 (土) 19:12:31

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