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2014.04.02 エッセイ「領土は誰のものか」 投稿者:岸野 みさを

The Best of Paganini

領土は誰のものか
 
 
岸野 みさを
 
 領土は誰のものか。所有者のものである。所有者とは誰か。神である。アダムは地球の所有者ではなく管理者として命じられた。(創世記1:26-28)

 BC2000年アブラハムはカルデヤのウルの地(現在のイラク)を後にしてハラン(メソポタミヤ)に向った。アブラハムの父テラが偶像崇拝に陥っていたため、父の家を離れるように主が命じたからである。

 ハランからカナンの地(現在のイスラエル)に到着したとき、主はこのカナンの地を永久にあなたとあなたの子孫に与えますと誓約された。
「目をあげてあなたのいる所から北、南、東、西を見わたしなさい。すべてあなたが見わたす地は、永久にあなたとあなたの子孫に与えます。わたしはあなたの子孫を地のちりのように多くします。もし人が地のちりを数えることができるなら、あなたの子孫も数えられることができましょう。あなたは立ってその地をたてよこに行き巡りなさい。わたしはそれをあなたに与えます」(創世記13:14-17)

 義に留まるならば、約束の地の権利、すなわち子孫と領土の誓約は永久に効力あるものであると宣べられた。しかし、それはアモリ人の悪が満ちる400年後のことであるとも
言われた。「あなたの子孫は他の国の旅びととなって、その人々に仕え、その人々は彼らを400年の間悩ますでしょう」(創世記15:13)

 400年後エジプトに捕らわれていたイスラエルの民はモーセの元に乳とみつの流れる約束の地を目指して40年間荒野の旅を続けた。モーセが「わたしがあなた方を知ったその日からこのかたあなたがたはいつも主にそむいた」(申命記9:24)と言われたように、荒野で40年間主の棒によってその曲がったところを直されたイスラエルだったが、約束の地に
足を踏み入れることが出来たのは、エジプトを脱出したとき20歳以上の人の中でたった二人、ヨシュアとカレブだけだった。

 モーセが天に取り上げられてその後を継いだヨシュアがカナンの地に入った時、そこは偶像礼拝の民で汚されていた。主はヨシュアに偶像を切り倒し、偶像礼拝の民を一掃するように求められた。もし偶像礼拝の国を滅ぼさないならば、彼らは「わなとなり」「むちとなり」「とげとなる」と警告された。(ヨシュア23:13)

 ヨシュアとイスラエルの民は31の町しか滅ぼすことができず、特にエルサレムに関しては「しかし、ユダの人々はエルサレムの住民エブス人を追い払うことができなかった。それで今日までユダの人々と共にエルサレムに住んでいる」(ヨシュア16:63)

 BC1000年ダビデはエルサレムを攻めるとそこに住んでいたエブス人はダビデを嘲笑った。「このエルサレムはめしいや足なえでさえも守ることができる」(サムエル記下5:6)
ダビデは「だったらお前たちがめしいや足なえか」と応酬して、水を汲み上げる縦穴をよじ登ってエルサレムを攻め落とした。
 
 こうしてイスラエルはダビデの統一下に最盛期に達し、1000年前にアブラハムに約束された全地をその勢力下に置くことができた。しかしそれは最初にして最後のイスラエルの繁栄であって、二度と再び国力を取り戻すことはできなかった。

 イスラエルの民の罪悪と偶像礼拝の為にイスラエル統一国家が南北に分断されたのはBC721年のことである。「わたしはあなたがたを国々の間に散らし…」(レビ26:33)
と主が言われたイスラエルの散乱が始まる。

 エレミヤの預言の通り「主は仰せられる。イスラエルの家よ、この陶器師がしたようにわたしもあなたがたにできないのだろうか。イスラエルの家よ、陶器師の手に粘土があるように、あなたがたはわたしの手の内にある。……あなたがたはおのおのその悪しき道を離れ、その道と行いを改めなさい」しかし民は「それはむだです。われわれは自分の図るところに従い、おのおのその悪い強情な心にしたがって行動します」(エレミヤ18:5-12)「さあ、計略をめぐらして、エレミヤを倒そう」(エレミヤ18:18)と言った。

 かくして「イスラエルはししに追われて散った羊である。はじめにアッシリヤの王がそれを食らい、そして今はバビロンの王ネブカデネザルがその骨をかじる」(エレミヤ50:17)

 北のイスラエル王国がアッシリヤに攻め込まれる前に、アハブという悪王がいた。彼は隣国のフェニキヤの女王イゼベルと結婚し、イゼベルはイスラエルのエホバ礼拝に変えてフェニキヤの偶像を持ち込んで北王国衰退の原因を作った。

 アハブはサマリヤにバアルの神殿を建て、自らがバアル礼拝者となった。(列王紀上16:28-33)

 主はエリヤを頭とする預言者たちを北王国に送った。その中の一人にモルモン書のリーハイがいた。

 またイゼベルは預言者エリヤの命をつけねらい、そのためにエリヤはケリテ川の水を飲んでカラスが肉を運んでくれた。
 
 アハブの宮殿のそばにナボテという人がぶどう畑を持っていた。アハブはそれを自分の野菜畑にしようと話を持ちかけると、ナボテは「先祖の嗣業をあなたに譲ることは断じていたしません」と断ったのでイゼベルに殺された。イゼベルは自分の手を汚さず策略を用いてナボテを石で打ち殺した。(列王上21:1-15)

 「先祖、すなわちアブラハムから受け継いだ土地を譲ることは断じていたしません」
 今日のイスラエルの領土問題はこのナボテの決意に象徴されている。

 モルモン書のニーファイは「まことに主は、人が住めるように大地を造り、それを所有できるように御自分の子供たちを造られました」(第一ニーファイ17:36)と創造の目的を明らかにしている。

 また申命記には「いと高き者は人の子らを分け、諸国民にその嗣業を与えられたとき、イスラエルの子らの数に照らして、もろもろの民の境を定められた。主の分はその民であって、ヤコブはその定められた嗣業である」(申命記32:8)

 イスラエルの民は数えられており、その数に照らして、民の境、すなわち領土が神によって定められたのである。

 70年間のバビロン捕囚の後帰還したイスラエルは再び神殿を再建し、国を興すもキリスト降誕時にはローマの属国となっていた。
 ここから現代までのイスラエルとアラブの領土問題の紛争は歴史上明白となっている。
 
 
 

  • 個人でも国家でも、所有する土地・国土の拡大は確かに際限のないもののように思われます。しかし、まさに現代社会では国民の生存そのものを脅かすほどの、大気、水質、土壌の汚染が現実化している国が存在します。座して死を待てない危機的な状況で国民の不満は爆発し、そのために清冽な水源を有する日本の森林資源が、外国勢の買収対象になっています。日本政府もその実態に懸念と危機感を持ち、対応を検討しているようです。ですから、現代の領土問題は、過去の歴史認識という煙幕の中で、熾烈な、生死を賭した戦いになっているということを、日本人の皆さんはきちんと認識すべきです・・・と、ここいらの野良ネコたちがいっています。熾烈な権力維持と、一般国民の生存環境維持の、それぞれの切羽詰まった事情が混然となった「領土問題」ですね。 -- 昼寝ネコ 2014-04-02 (水) 20:19:31
  • 昼寝ネコ様
    ビシッとネコ論評ありがとうございました。
    かってベンヤミン・ネタニエフ首相は「イスラエルはアラブに囲まれている。日本は海に囲まれていていいですね」と日本の取材陣に述べていました。昨今、日本も取り囲まれていることにようやく気付いたわけで、昼寝している場合ではなくなりました。 -- 岸野みさを 2014-04-02 (水) 22:14:24
  • 改めてゆっくり読ませていただきました。壮大なスケールの旧約時代をしっかり把握されて、その凝縮された成果のおかげで頭の中が整理できました。有難うございます。自称、紀元前1000年頃の生まれであり、一族はさらにその前に起源がありますので、割と旧約聖書が好きなんです。またの続編を期待します。 -- 昼寝ネコ 2014-04-03 (木) 00:50:53
  • 昼寝ネコ様
    続編は政治軍事専門家のあなたさまにバトンタッチします。私はまだ昨今の国際情勢のインテリジェンスに至りません。 -- 岸野みさを 2014-04-03 (木) 03:48:50

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