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14062103昼寝ネコ

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2014.06.21 その他・創作落語・上方版「十三のたぬき饅頭」 投稿者:昼寝ネコ

創作落語・上方版「十三(じゅうそう)のたぬき饅頭」
 
昼寝ネコ
 
 
 きょうびはインターネットで、祖国語を英語や韓国語に、簡単な操作で翻訳できるようになっとるようやけどアンタ、驚いたことに、標準語を関西弁に、しかも瞬時に変換するソフトまであるんやね。いやあ、ほんまに便利な時代になったもんや。ほんで実験的に江戸前の落語が、コンピュータで上方落語になるサマをご覧いただこうかと思いまして、創作落語でご機嫌をお伺いいたします。題して「十三のたぬき饅頭」でございます。

 えー、梅雨が明けまして、ほんまに暑い日が続いております。本日は、プールにもいらっしゃらず、こうして「昼ネコ亭」までお運びくださり、ありがとうございます。

 食中毒の時期やから、食べ物にはくれぐれもご用心なさっていただきますように。なんぼ食通とはいえ、サルモネラ菌の味がするものを食べてみたい、なんていう方はいたはれへんと思いますが。それにしましても、昔から「蓼食う虫も好き好き」と申しまして、人によりまして食べ物の好みも様々でございまんな。
 甘いものが好物の方もあれば、辛党の方もいらっしゃいます。オノレの好みを相手に押しつけちゃあいけまへん。うちのかみはんのように、あたしがメロンパンを買おうとすると、「メロンパンを食べる人の気が知れへん」。すあまを食べようとすると、「そないなもの、どこがおいしいの」と、こうなんや。いやあ、なかなかエライもんでございまんな。「あんこ」でもそうなんや。あたしはこしあん党なんやけど、家内はつぶしあんやないと、あんではおまへんと、こういうんでございますわ。あんこぐらい自由に食べさせてほしいと切実に願っとるわけですわ。

 知り合いのご主人は、あたし同様、あんこは断然こしあんの方でして、いろいろな和菓子を召し上がるにも、こしあんのものしか口にされまへん。その方が、大阪に出張においでになりまして、阪急電車は十三駅近くの「喜八州」いう和菓子屋はんで「たぬき饅頭」と出会われたんや。もともとは「酒饅頭」で知られたお店のようやけどアンタ、生まれたてのたぬきの赤ちゃんのような色合いと形の「たぬき饅頭」なのかどうか知りまへんが、店員はんに尋ねたら、こしあんやちうやおまへんか。その方は喜々として試食されまして、その場でおみやげに十箱買い求めるほど、すっかり気に入られたんやな。それ以来、大阪出張の帰りには、新大阪にいらっしゃる前に、わざわざ阪急電車を利用して十三で途中下車とあいなったんや。十箱単位でお買いになりまして、東京の取引先や社員の方にまで「たぬき饅頭」の普及運動をされるようになりましたんや。そのうちに、病が高じるとでも申しまひょうか、大阪出張の折にも「たぬき饅頭」を買うて、地元大阪のお得意はんにも配るようになってしもたんやな。これはもう、エライものでございます。きょうびは、風貌が段々たぬきに似てきたとかいう噂もございます。

 今の時期は、飛行機も新幹線も大混雑でございまして、いろいろなお客様がいらっしゃい ます。羽田空港に参りますと、例の「たぬき饅頭」お気に入りの男性とお嬢はんが、何やら言い争いをしております。

「えっ、お前、やぶからぼうに結婚するって、どういうことなんや?相手はどなたはんや。お父はんの知ってる人なんか?黙ってちゃ分からんやないか。」
「そやかて、どうせお父はんは反対するに決まってるから、うちは自分で決めたんや。」
「自分で決めたんやって、そないな馬鹿な。ここまで二十三年間親子をしてきた仲なのに、なんていうことを言うんや。」
「来週入籍しますから。」
「来週って、結婚式はどないするんや。そないなみっともないことをするもんやないよ。親がついてて式も挙げへんなんて、そないなことできるわけないやろ。ちーとばかしお前、帰るのを一日延ばしなさいや。」
「アカンよ。三時から仕事が入っとるんやから。」
 こりゃあ一大事やと思ったお父はん、同じ飛行機で伊丹まで飛ぼうとしたんやけどアンタ、あいにくの満席。こないな緊急事態やから背に腹は代えられず、全日空のカウンターに交渉に参りました。
「あの、すいまへん。急に心臓の発作が起きたんやけど。」
「えっ、それはエライことやね。で、どなたが? 」
「わいがや。」
「あんたはんが?そんならすぐに救急車を呼びましょ。」
「いや、ちーとばかし待っておくんなはれ。これは東大病院で診察を受けた結果なんやけどアンタ、珍しい心臓の難病で、発作が起きたときは、娘と三十メートル以上離れると、心臓が止まってしまうんや。娘は大事な仕事でこの飛行機で伊丹に飛ばんといけまへん。発作が起きたときは、なんぼなんでも二時間は娘と一緒におらへんと・・・ああ、痛い痛い、なんとかしておくんなはれ。」
 と、必死でお願いをしましたんや。すると特別に副操縦士席の隣に座椅子を用意してくれると言うんや。いやあ、さすが全日空やねえ。国内旅行は是非全日空を利用しておくんなはれ。
 えっ?お客様はJALの関係の方?いやいや、別に全日空から何ぞをちょうだいしとるわけはおまへんので、急遽場面設定を変更させていただきまして、お父はんと娘はんは、日本航空の機内の人となったんや、へえ、この辺が噺家の節操のなさでございまして、政治家と大して変わりはございまへん。

 そないなわけで、親子は無事に伊丹空港へ到着いたしました。
「おいお前、なんで口をきいてくれへんねん。そりゃあとんでもないでまかせで操縦室に陣取ったのは悪かったけど、お前の一大事でこっちもほんまに心臓が止まりそうなんや。」
「アホ!とんでもない親なんやから。ウチがそないに簡単に結婚するわけないやないの。昨日も銀行の頭取の息子はんを紹介してもろたけど、お断りしたわ。お金に目がくらんで結婚したって幸せになれる訳ないでしょ? 」
「そうやとも、さすがお前はウチの娘や。ちゃんと育っとるやないか。」
「それに、結婚祝いにご両親が、現金でスイスの銀行に一千万ユーロ用意してあるって言ったけど、一千万円じゃマンションも買われへんやない?」
「そりゃそうや。ん?ちーとばかし待てよ。お前、今一千万ユーロって言えへんかったか? 」
「うん、言うたよ。お父はん、ユーロって何? 」
「何ってお前、ユーロと言うたらヨーロッパの通貨単位やないか。」
「通貨単位?余計分かれへんわ。」
「 ゴチャゴチャゆうとる場合やあれへん,要は、一ユーロが百六十円やったら一千万ユーロは十六億円やないか。」
「えっ?そないなええお話しやったの? 」
「おいおい、そのお話し断ってしまったのかい? なんとか元に戻せへんか、紹介者の方にお電話してみなさい。お父はん、金額によってはお金に目がくらんでもええ場合もあるような気がしてきたよ。紹介してくださったのはどなたなんや?えっ?十三の徳永はん?おお、徳永はんのご紹介なら間違いおまへん。 これから十三まで行こうやないか。駅前のたぬき饅頭が大好物の方やから、今日は十箱ぐらい買っていこうやないか。そんなものすぐに元が取れるわ。・・・ちーとばかし待て。縁起でもない。今日だけは酒饅頭にしておこう。ことがことだけに、取らぬたぬきの皮算用になっては元も子もないからな。」

 お後がよろしいようで。
 
 

  • 特に関西の読者の皆さまへ
    穀粒を訪問して頂きありがとうございます。穀粒的なお・も・て・な・し・は、昼寝ネコ先生からの上記プレゼントです。で、笑えましたか?「要は金目の話やんか」「はあ・・」笑えるコメントをお待ちしております。ちなみに昼寝ネコ先生は皆さまの郷土である堺出身の天才棋士阪田三吉さまの流れをくむアマチュア棋士ということです。 -- 岸野みさを 2014-06-22 (日) 15:34:26
  • 岸野 みさを姉妹
    アマチュア棋士というより、単なる将棋好きです。ただ振り飛車党ですので、阪田流の三間飛車や駒落ちでも、阪田流を好んでいます。なかなか上達せず、師匠から昇段の評価が下りません。でも、乏しい時間を毎日少しずつ将棋に割いています。 -- 昼寝ネコ 2014-06-22 (日) 16:15:42
  • 1年ぶりの疲れ風邪で寝込んでしまった。私は十三(じゅうしょう?)たぬき饅頭がこしあんで良かった。十一のたぬき饅頭があったら飛んで来てもらえたのに・・・どうか慈悲心を。(十一はジュイチー、又はジヒシンと鳴く慈悲心鳥)関西人でないので、昼寝ネコ師匠の落語の笑いには到底及びませんでした。病み上がりにはありがたき「おもてなし」ありがとうございました。お礼と言ってはなんですが、一句 ☆猫パンチさるるがままや夏の風邪 お後がよろしいようで。  -- としえ 2014-06-24 (火) 12:03:26
  • としえさん
    あらら、夏風邪はつらいですね。でも、俳句をお作りになれるまで快復なさったようですね。有難く頂戴いたします。最近は仕事で忙殺され、脳内オーバーヒート状態でしたが、一昨日から寝るときに氷枕で頭部冷却を始めました。いくらか思考力が戻って来たようです。風邪は万病の元といいますので、くれぐれも無理をなさいませんように。ペースダウンされてゆっくりと周りの景色を眺めながら、日々をお送りください。 -- 昼寝ネコ 2014-06-24 (火) 12:22:45
  • としえさま
    音信不通と思いきや、ネコパンチなど喰らいながら病に臥せっていたのですか?大変でしたね。ここ数年来風邪などひかなくなった私は〇〇の部類に入ったのでしょうか?〇〇は風邪をひかないというじゃないですか。
    ジュウイチ、とかジヒシーンと鳴く鳥のお話で、としえさまは鳥博士だったんですね。鳥の鳴き声も聴き分けられないのは面白みがないですね。深い山に住む鳥らしいですが、長野に行けば深い山なのですが、聴いたことがなく、あるいは聴いても聴き分けられず、やはり私は〇〇でした。(〇〇に文字を入れてみてください) -- 岸野みさを 2014-06-24 (火) 15:10:20

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