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2014.11.13 エッセイ「What? Why? Who ? 」 投稿者:岸野 みさを

The Best of Debussy

「What? Why? Who ? 」
 
 
岸野 みさを 
 
 最初はH to M Foreverと刻み込んだ結婚指輪、次はチリーのみどりちゃんからプレゼントされたラピスラズリの指輪、次は娘のオーストラリア旅行記念のオパールの指輪を紛失してしまったのだ。どこを捜しても無かった。奇妙なことに後者の時は「指輪を紛失しましたよ」という御霊の促しまで聞こえたのである。

 不注意な自分のバカさ加減なのだ、と思えない事件が次から次へと起こったことがある。

2003.8.9(土)台風                         
 孫の3つ目のスプーンが紛失した。遅い朝食時に気が付いたママはガックリして食事が喉を通らなかった。私は夫に「お祈りして下さい」と頼んだ。パパが生ごみに手まで突っ込んで捜したが結局無かった。
 私が使っていた小さくて便利な「たわし」が無くなって、ママが同じような「たわし」を買ってきたがそれも数日前から無い!その前はなんと哺乳瓶の一回り小さいサイズのジュース飲みが無くなった。何かに紛れ込むには大きすぎる。

 その頃、物が無くなるだけではなくヘンなことが起こった。私の部屋のタンスの上に乗せておいたみかん箱の半分くらいの花柄の箱がある時ジュウタンの上に置いてあるではないか。えっ?何で?誰が?事態が呑み込めない私は夫を呼んできて「この箱降ろしたの?」と聞くと主人は「いいや、自分で降ろしたんじゃないのか?」という。私の身長では踏み台が無ければ降ろせない。2階には踏み台を置いてないし、しかもその箱の中身は不要なものばかりだった。私はやってない、というのにボケたのではないかと疑われたのが腹ただしくなって一か月以上そのままにしておいた。「降ろした人が元に戻してください」と。しかし、元に戻ることはなかったので夫にタンスの上に乗せてもらった。迷宮入りになってしまった。

 ある休日、私は疲れたので2階の和室で横になっているとドーンと大きな物音がした。驚いて飛び起きて、押入れの方から聞こえたので開けてみると布団類は整然としている。隣の部屋でパソコンを動かしていた夫に「今、大きな音がしたけど何かしら?」「あゝ、音がしたねえ。何だろう」と言いつつも動じた様子もなく、パソコンの画面に向かっている。1階に降りていって娘の夫に同じことを聞いてみると「確かに大きな音が2階から聞こえてきました」と言って和室に調べに来てくれた。夫も来てみてくれたが何も変わった様子がないのだ。

 奇妙なことが続くので夫が再びこの家の祝福をしてくれた。住宅ローンが終わった時点でこの家の奉献は済んでいたのだが…。
 その後、娘夫婦はスープの冷めない距離に引っ越して行き事件の事は思い出さなくなった。

 2011年2月3日友人のHさんが急死してお通夜に行った。十数名の人々が集まり玄関先は靴が多くなったので隣の風呂場に皆さんの靴を何人かで方付けておいた。帰る時刻となり、その靴をまた他のお手伝いの人が玄関に戻している時「自分の靴は風呂場に置いておきなさい」という声が心の中に聞こえた。他の人がやっているので「私の靴は玄関に出さないで下さい」と言えなかった。
後片付けが終わり、さあ帰ろうと玄関に行くと「えっ!私の靴が無い!」何人かでどこを捜してもエコーの黒色の新しいウォーキングシューズが無いのだ。
その代りかのように別の靴があった。メーカーといいデザインといい、間違える程似ているところはどこもなく、黒色で履き馴れた様子ではあるが綺麗な靴だった。御霊の声に従わなかった自分を悔いたが遅すぎた。Hさんの家人が恐縮して「その靴を履いて行ってください」と言われたがそんな気持ちにはなれなかった。その夜その家人が、来た人たち全員に電話をして問い合わせてくれたが全員が「知りません」ということだった。次の日告別式が終わり、斎場に行った。昨日来ていた何人かの女性たちの靴をチラと見たが、大勢でチェックしきれるものではなかった。

 「Hさんが履いて行ったんじゃないか?」深刻に受け止めない夫である。
誰かの足に履かれなければ靴は自分では移動できないのだが…。

 昨年夏、北アルプスの故郷の白馬で買い求めた絵葉書を使おうとして何枚かを出しておいた。いざ使おうとすると、さっき机の横に出しておいた筈の絵葉書が無いのだ。あちこち探しても無いものは無かった!またかぁ!どうせ、彼なんでしょう!彼が犯人なんでしょ?

 その少し前にもたびたび使う名刺を別にしておこうと思い、別の小さなケースに入れておいたのだがケース毎無くなってしまった。

 それ以後、今のところ平穏無事だが、その内に私自身が消されないためにも、誰が何のためにどうしてこんなことをするのでしょうか?
 名探偵エルキュール・ポワロさま「あなたさまの灰色の脳細胞で究明して下さいませんか?」

  • う〜ん・・・。それは本当に不思議ですね。モノが行方不明になることはしばしばありましたが、最終的には幸いにどこからともなく、戻っています。なので、物体が消えることが連続する謎解きは、ちょっと私にはできかねますね。それにしても、不思議ですね。ミステリアスな人生もまた、いいのではないでしょうか。でも、大事なモノが消えるのは勘弁して欲しいですよね。 -- 昼寝ネコ 2014-11-13 (木) 14:06:45
  • 昼寝ネコさま
    消えてしまうと生活に支障をきたす大事なモノ「お金」が無くなったことはありません。なので彼はそれを知らないのでしょうか。この世の経済の仕組みが解らないのでしょうか。 -- 岸野みさを 2014-11-13 (木) 14:48:40
  • 当たり前のはずの日常への違和感。鏡の中の自分への違和感。今暮らしている世界とは違う世界があるのではないかとの思い。不注意以外で物をなくしてしまう場合は、あなたと家族にとって大切なメッセージかもしれません。あなた自身が消されたとき、夫は世界で最も大切な人がいなくなった事実に思い至るでしょう。たとえ夫の口の端が上げられていたとしても・・・。日常ミステリーに時は乱れる。 -- 永遠井来人 2014-11-14 (金) 10:47:05
  • 永遠井来人さま
    「鏡の中の自分への違和感」これが一番のミステリー(老化)ですね。「大切なメッセージ」って?物は大事にせい?オレの能力を思い知れ?それとも、もっと怖い超常現象の予兆ですか? -- 岸野みさを 2014-11-14 (金) 11:23:50

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