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2015.07.16 エッセイ「わたしが年をとったと思うこと」投稿者:華麗

IPフォン

インドのタクシーに携帯電話を忘れ、使わなくなってから1年半が経つ。今のところ日常生活に支障はない。多分これからも普通に生きていけるだろう。
さて妻が大学の通信教育を受けている。二校目である。妻の年を考えると、その向上心に頭が下がる。ところが先日ノートに書き写していた授業の内容が、どうも以前に書き写した内容と同じではないか、と途中で気がついて調べた。案の定数ヶ月前のものをまた書き写してしまったようだ。妻は加齢を憂い、しばし放心した。
わたしも年相応の出来事に椅子から立ち上がられなくなった。数日前妻から言われた。「一階にIP電話を付けたいので調べて」。現在契約しているプロバイダーに連絡したのだが3,4箇所たらい回しにされ、さらに3人目、4人目と順番待ちでえらく時間がかかる。次はNTT。「現在契約しているひかり電話はIP電話ですよ」と説明を受けたことを始めに、設定方法や基本料金を含めたお金の事も確認した。説明がようやく終わりかけるころ「単独で一階で電話を使用する場合は、二階のひかり電話ルーターを使いますのでラン配線工事に16000円かかります」と聞いたとたん記憶がよみがえる。この説明前に聞いたじゃん。
そうなのだ。あのときも妻は「IP電話を付けたい」と言ったので「なぜIP電話なの」とわたしは疑問を口にした。「安いから」が答えだった。だったら経費節約にもなるので調べたわけだ。そして今回と同じようにいろいろ説明を受けて、IP電話はやめた、とあのときと同じ結論に至った。
それもよりによって一番最後の16000円で思い出すなんて。
バカヤロ~!半日もかけた時間を返してくれ~!わたしは夕日に向かって叫んだ。そしてへたり込み動けなくなった。

  • 華麗さま
    最後の3行で芥川賞候補作品となりますね。可笑しくてクスクス笑ってしまいました。へたり込まないで、さあ立ち上がって、皆が通る道なのよ(どこかで聞いたセリフ) -- パシリーヌ 2015-07-17 (金) 21:25:48
  • 華麗様
    老化現象とはミステリーゾーンに足を踏み入れ迷うことだと思う。わしも既に踏み込んでいるが貴殿のように超面白ストーリーは無い。相い方あってのストーリーということか。 -- KAZE 2015-07-18 (土) 11:03:16

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