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2015.11.09 エッセイ「孫の小学校の運動会」投稿者:岸野みさを

どんよりとした曇り日だったが孫が4人在籍する生徒数500人以上の小学校の運動会は盛況だった。4年生の次女(孫)の50m走だ。コーナーで観戦していたパパが「みのりっ」と名前を呼んで、続いてママも私も同時に叫んだ。するとこちらをチラと見るではないか!「もう!集中力が切れてしまうよ」後の祭りで3位になってしまった。ひいきの引き倒しとはこのことか。

次男の50m走に間に合わなかったが3位だったそうだ。幼稚園の担任が彼一人の為に見に来てくれたという。ダンスも見たかったが私らの陣取りの場所の反対側で100mは移動しなくてはならず、歩行難ありの私と主人は遠くから見たのだがどの子が孫かさっぱり分からなかった。

 長女と次女は紅組で次男が白組だ。今までのプログラムで紅組の方が優勢だ。PTAの綱引きも紅組が勝った。娘の(孫たちの母)ママさんバレーボ-ルチーム十数名は紺色のユニフォームにピンクのゼッケンまでつけていて、入場門で並んでいる時から既にチャチャチャチャチャと拍手で威勢をつけていた。案の定その勢いは20秒間の綱引きでも圧巻だった。勝つたびにチャチャチャチャチャだった。一致団結のパワーはスゴイ。綱引きはかって5輪競技だったという。
(以下、日本の暮らしー運動会 國學院大学文学部教授 新谷尚紀)もともと綱引きは全国各地の農村や漁村で農産物や海産物の一年を占う行事だった。たいていは二つの集落で綱引きが行われ勝った方はその年が豊作だとされていた。

 長女たち5年生の女子は赤、男子は黒の長いド派手なハッピを着て、長いハチマキをして裸足でソーラン節を踊った。大きな大魚旗を振る役の子供たちは旗に振り回されそうだ。どの子も吹く風にハッピとハチマキを流されながら、楽しそうに踊っている。あゝ、民謡っていいなぁ。

 長女は、昼食時広げたお弁当からプラスチックの銘々皿に、卵焼きやから揚げ、トマト、おいなりさん、果物と取り分けて「はい、おじいちゃん」「はい、おばあちゃん」と自分は後回しで皆にサービスしている。その姿を見て「まあ、よく働くわね、これからリレーだから自分が先に食べてね」と言った私だが、嬉しかった。

 食べ終わったころ1年生の次男のところに4年生の男の子が「はい」と言ってキャンディーのようなものを一つ持って来てくれた。「何で上級生が?」とパパ。「子分なんでしょう?」と私。「どっちが子分?」「あっち」と本人。気になる関係だ。というのも過日「上級生と買い物に行くので、僕のお金あったよね」と主人に言っていたのだ。過去に、主人が重い小銭を袋に入れてベッドの下に置いてあるのを見つけて一言「ちょうだい」と持って行った輩だ。計算してみたら2万円以上あったのだという。「買い物はママとしなくちゃ」「イヤ、行く」と言って玄関を出たが戻ってきたことがあった。まさかその上級生ではないだろう。

 トイレに行く時次男と次女がいっしょに来てくれて、次男はスリッパまで出してくれた。
「みのり頼んだよ」と言う。女性用トイレまでは行かれないからだった。トイレを出て来ると人混みの中から次男が私を見つけて「ハイ」といって肩を差し出した。彼の肩に手を置くと歩きやすい私なのだ。(左変形性膝関節症の為)

 午後からは応援合戦、大玉送り、玉入れ、100m走、棒引き、ダイナミックエイサー、と続き、感動の6年生の組体操だ。全体的に身長も大きく見栄えがいい。2人技から始まり人間ピラミッド5段まで登った。日頃からの訓練と反復練習によるタイミングとバランスの体得、見事だった。しかし、組体操による傷害事故や死亡事故は小中高で年間8500件と増えている。今日も、その瞬間は見なかったが3人の組体操で2人の生徒が落下した。1人は教師が抱きかかえて校舎の中に走り込んで行った。もう1人は自分で歩いて校舎に行ったので大丈夫だろう。前者はそれから病院に行ったが、今は通学していると後日、長女から聞いた。

 中学3年生男子で高さ7mになるピラミッド10段を作ると土台で重さに耐える4番目の子の負荷は200kgになるという。(内田良「教育という病―子どもと先生を苦しめる『教育リスク』P、54)組体操は文部科学省が定める学習指導要領に記載されていない。段数制限をはじめとする安全対策の徹底を各教育委員会に指導するように求めた馳浩文部科学大臣への署名活動に署名した。すでに12261人の賛同者があった。

 紅組の長女が出るリレーが始まった。長女はバトンを受け取るや否や素早く前を走る生徒を追い抜いたのだ。ワーワーワーの歓声。男女混合のリレーでトラックを2分して男女は別れて走る。黄色のハチマキと赤いハチマキの赤組の勝ち!

 総合得点、赤833点、白765点、100点差に迫って赤の完全勝利だった!
パパ曰く「後5回運動会に出なくちゃ」。

  • 「赤白と 孫走り抜ける 運動会」「綱引きに 命をかけて 筋肉痛」「子も孫も 親も張り切る 運動会」来春生徒数500人以上の小学校に入学する孫娘は、運動会でどんな思い出をつくるのだろうか。子分になるのだろうか、それとも親分になるのだろうか。 -- 七転び寝起き 2015-11-10 (火) 09:00:33
  • 七転び寝起きさま
    そりゃ、寝起きさまのお孫様なら親分になるにちがいありません。オーレッ! -- 岸野みさを 2015-11-10 (火) 14:10:15
  • 臨場感あふれるお孫さんの運動会、読んでると 歓声や応援か聞こえるようです。トイレで優しくスリッパや肩を貸してくれるお孫さん、素敵ですね。大きくなったらどんな青年になるか楽しみです。 -- 山茶花 2015-11-10 (火) 23:10:09
  • 山茶花さま
    立派な青年になる日が見られないのが残念です。いくらなんでも後20年は無理というもの、よしんば生きながらえたとしても認知症では……。予想はできていても通ってみるまで分からない老後の道なんて、セ・ラ・ヴィですね。 -- 岸野みさを 2015-11-11 (水) 20:54:14
  • 運動会私も後一回となりました!
    組体操ちょっと怖いです。
    わたしは、ずっと3年〜5年までずっと
    リレー選手なので、6年リレー選手になりたいです -- ネコの鈴 2015-11-21 (土) 21:12:16

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