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16071802徳沢愛子

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2016.07.18 詩・散文「旗のように」 投稿者:徳沢 愛子
         

花山君 小児マヒで口のきけない18才の君
車椅子の上で目玉を上へ向けた
何度も 何度もしつこく上へ
<僕は天国へ行く 死ぬんだ>
重度身体障害児学級 <もし神様が一日健全な 
体を下さるとしたら君は何をする?>と
問うた時だ 右足だけ動かせる君は
膝を屈伸させながら
口を大きくパクパクさせながら
獣のような叫びを上げながら
車椅子をひっくり返す勢いで
全身で叫んだのだ <僕は自分で死ぬんだ>
言葉にならぬ言葉で 激しく言い放った

愚かな質問であった
そんなにも君は絶望していたのか
長い間 聖書を読み聞かせてきた
聖書の中 「あなたに試練が与えられたのは
祝福を与えるためである」と。
その昔 花山君は満面笑顔で右足屈伸させ
<そうだ そうだ>と全身で頷いたのだ
あの時の命溢れた笑顔は どうしたの

あの体操教師だった星野富弘さんは
バクテンで首から下がマヒしてしまった
その彼の詩に「神様が一日健康な体を下さったら
僕は母の肩をたたいてあげたい」
という詩の一行があった 昔 花山君らに
読み聞かせていた

花山君 そんな悲しいことは言わないで
君の母さんはよく訪ね 君の肩に白い手を置きながら
家族の小さな幸せを拾い上げ 春風のように
語っていたではないか
君を世話する若い看護婦さん達はTVの明るい話をして
笑わせてくれているではないか
教師の私だって君の小さな進歩を 手を取って
嬉しがっているではないか
花山君 君は笑い 喜び 怒り 悲しみ 考え
みんなに元気を与えている 風に激しくはためく
旗のように
ねえ 花山君

  • 徳沢愛子姉妹
    花山君の「自由になりたい」という気持ちが痛いほど伝わってきて、自分だったら、かける言葉が出てきません。普通に接することができる姉妹は特別な教師だと思いました。 -- 岸野みさを 2016-07-19 (火) 07:21:33
  • 問いかけ、考えさせる詩です。本作の内容のことを考えると、私はいつも思います。試されているのは障害者(花山君)ではなく、自分だと。どうだろう 花山君 -- ユカイツリー 2016-07-19 (火) 07:23:01

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