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17041401徳沢愛子

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2017.04.14 俳句「匙の音」 投稿者:徳沢愛子

瑠璃色や湖にちりたき紅葉なり

散る紅葉風に惜しむや二度三度

おでん湯気口に入りても湯気鉄砲

たらちねを歌で呼び出す千の風

鮨ぱくり明日の事などさて措いて

僧の来て抹香におう寒さかな

赤子泣く金時さんは蹠(あうら)まで

誘蛾灯わが臨終もかくありや

電話声父冬ざれに死をまとい

赤子には夏痩せなくて布袋様

声高に余生といふや芋畑

敬老日みみず字泳いで孫五つ

見て見えず冷(すさ)まじ生身冬本番

伝えたき言の葉溢れゆずり葉は

初秋やたんち((幼児))のたたく匙の音

秋の航天と地ありて真二つ

秋空に柿ひとつなり神供物

涙枯れ見えぬ見えます曼珠沙華

棺行く見えぬ眼にある曼珠沙華

風もぐる柳の中に童(わらべ)あり

蜜蜂や羽音すづけき午後一時

幼子を放てば風起く雲の峰

原っぱに草編む尻の涼しさよ

故郷をたずねたりなば虫溢れ

諍いて金木犀の闇深し

鮨食べて御旨の思い消えやすし

沈黙はメサイヤ歓喜それしかない

茹で上がる寂しくはなし蟹一団

新涼や豆腐角ばるすべてよし

絵画展ベレー帽の人秋纏い

秋蝶や舞入る座敷華やげり

今朝秋や魚捌く手の白さかな

捨て難く古書の真中秋暑し

出水痕山落ち流れ秋無残

咳きこめば愛なんて嘘春一番

山に来て水音ばかり秋深し

盛り上がる雲とひまわり眠たかり

花笩分けて唄さえ立ち上がる

言の葉の森に虎あり眼の光る

親鴉散らすゴミ山鳥曇り

  • 麗しい句を堪能させて頂き、特に以下の5句には愛子姉さまの真骨頂が見え隠れすると感じました。
    鮨ぱくり明日の事などさて措いて
    おでん湯気口に入りても湯気鉄砲
    秋空に柿ひとつなり神供物
    風もぐる柳の中に童(わらべ)あり
    茹で上がる寂しくはなし蟹一団 -- 岸野みさを 2017-04-15 (土) 10:59:06

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