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2017.06.09 穀粒記者レポート・『少年たちの群像(7)』投稿者:岸野みさを

 今日6月3日は孫たちが通っている中学校の体育祭だ。お天気に恵まれて、風は冷たく心地よかったが、観戦していたコーナーの近くは風下で、生徒たちが走り抜ける度に砂ほこりがブワッとくる。それを吸いこんで咳き込むのがイヤで鼻と口をタオルで塞いで、折り畳みイスに座り、日傘をさして情けない格好となった。

 グランドに到着した時は丁度3人4脚をやっていた。遠くから見ても孫は体型で分かった。デコボコチームでよく転ばないで走っていると思いきや、ゴールはビリだ。すると隣りの男子が孫の頭を叩いて、孫も応戦しているではないか。「お前が悪いんだ」「なに、お前だろ!」セリフも聞えて来そうだった。終わってから孫たちが家に立ち寄ったので質問してみると「いつも、あーなんだ。校長先生がね『ビリなのに楽しそうじゃないか』と言ったよ」孫は彼のことを「栄養失調」と呼び、彼は孫のことを「栄養過多」と言い合う仲だそうだ。

 騎馬戦は昔と違っていた。昔はハチマキを奪うのだが、最近は落下事故を防ぐためかハチマキに教札(?)みたいな紙を立てて、それを奪うのだ。それで作戦も違ってきた。奪われまいと、騎手がのけ反ると別のチームが背後から廻って来て、のけ反った頭の教札をいとも簡単に引き抜く。馬になっていた孫は大活躍で何本か教札を奪った。

 全校生徒のリレーのとき、筆者の周りにいた若い父母たちの応援が面白かった。「あっ、抜け!抜け!抜けッ!あぁ…」「そうだっ!抜かれるなッ!」「センセッ!がんばって!」「そこの青、青、青ッ」一帯が歓声と笑いの渦になっている。保護者も走った。相当な年齢に見える男性が走り抜け「まあ!」と思ってみているとゴール前で足が絡まって、バタンと前のめりに倒れた。結局、救急車で病院へ運ばれて、左足アキレス腱断裂だったという。中学校の運動会なのに、なんで老人が走った?しかし、彼は前日も新しいスパイクを履き、生徒たちに交じってランニングをして準備万端だったそうだ…。

 リレーで孫娘が走り出した時一人追い抜いた、というがジッと走り抜ける女子を見ていたのに孫娘を確認できなかった。それはこっち側半周を孫息子が走り、向こう側を孫娘が走ると勘違いしていたからだった。勇姿が見られず残念。彼女は小学校の昨年まで毎年リレーの選手だった。

 生徒たちの応援も凄かった。始まる前は円陣を組んで「 オセ、オセ、赤ダン、イーケ、イケ」とか「エイエイ、オーッ」とか「ゴーゴー、チャチャチャ」と手拍子で勢いをつける。男子は声変わりの声で女子は黄色い声だ。

 また、リレーの時PTA会長をしている筆者の娘の目の前で伴走者付きの男子が走ってきた。と、その男子はバタンと倒れて、「右手が」と言うと、あっという間に全身に痙攣が起こったそうだ。慌てたPTA会長は横にいたでかい男子に「抱き起したほうがいいの?」と聞いていると、体育の先生が走って来て「ハイッ、深呼吸!大きく吸ってぇ、ゆっくり吐いてぇ」を繰り返し始めた。その間、倒れると同時に伴走してきた男子がバトンを受け取って走り去ったのだという。その男子は以前、何かの原因で転んで、その時のトラウマがそうした発作を起こすようになってしまったと聞く。PTA会長も幼稚園の頃から知っている元気のいい子だったのに、と言っていた。暫くすると、何事もなかったかのように自分で起き上がって陣地に走って行ったそうだ。

 PTA役員もリレーをやったので、会長も走ったのだが、私のいる向こう側半周を走り、これまた誰が誰だか判別できなかった。日頃の運動不足で「ドタドタ走ったのでお母に見られなくてよかった」と言っていた。背が高く痩せていて足が速そうなのに……。

  • お孫さんたちの様子が目に浮かび、声援が 聞こえてくるようです。娘さんも大活躍ですね。お疲れ様でした。 -- 紫陽花 2017-06-10 (土) 20:43:34
  • 体が思うようにならなくても運動会というとなんだかソワソワしてきますよね。気持は
    中学生と同じなのでしょうか?観戦していて実に痛快でしたよ。ビバ!青春! -- 岸野みさを 2017-06-24 (土) 10:57:26

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