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2019.02.02 エッセイ「挨拶の所作」 投稿者:岸野みさを

 ある日本人女性はアメリカ人の指導者が来た時に握手をしながら、ついお辞儀をしてしまい、相手の目を見て行うはずのものが、視線を落としてしまった。そのお辞儀も一回ではなく何回もしてしまって、いわゆる米つきバッタ状態になったそうだ。日常ハグや握手が挨拶になっている彼等には日本人のそのような習慣に戸惑うという。

 本来、お辞儀の頭を垂れる行為は、首を差し出して相手に対する敵意が無いことを示し、
同じような意味合いで握手は右手に武器など持ってないということを示しているという。
両方とも相手を尊重する気持ちを挨拶の言葉と共に態度で示しているわけだが、手を接触させることなく一定の距離を置くお辞儀文化と、しっかり相手の手をにぎる握手文化の折衷を行う日本人の挨拶は見て美しい姿だろうか?

 握手は強く握り過ぎても不快感を与え、逆に緩すぎて「Dead‐fish」などと言われるようだが、腐った魚ほどイヤなものはない。

 アメリカから帰ってきた若人はやたらとハグをしたがる。また、大人の日本人同士でハグをしているのをチラホラ見かける。ハグの習慣がつくとその方が自然に親愛の情が伝わるともいう。もともと握手は体を抱きしめるハグが簡略化されて手先だけになった、という説もある。

 ヨーロッパでは両頬に軽いキスをし、フランスではハグはあまりしないらしい。タイの挨拶は手と手を合わせて合掌をする。日本のお仏壇に手を合わせるのと同じ合掌。チベットでは舌を出す。それが相手を敬う気持ちを表しているそうだ。東アフリカのキクユ族は自分の唾を相手の手にかけるという。そんなぁっ! 魔よけの意味があり、良いことがやってきますように、という意味があるそうだ。

 お辞儀に戻ると、立礼の場合、「最敬礼」は直立の姿勢から腰を基点に45度以上体を曲げる。「敬礼」は30~45度、「会釈」は15度程度だそうだ。最敬礼も敬礼も日常にはめったにない。つまるところ握手文化圏の人とは握手で挨拶、日本人同士はお辞儀で挨拶とTPOになるだろうか。とは言っても自分の唾を相手の手にかけることはしない。たとえ相手がキクユ族であっても、だ。


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