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2019.12.31 穀粒記者レポート「推薦図書―天皇という「世界の奇跡」を持つ日本 ケント・ギルバート著」投稿者:岸野みさを

 痛快な文脈に連れられて一挙に読み終わりました。文中何回にも渡って日本と日本人に対する友情ある提言が繰り返されています。チコちゃんの「ボーッと生きてないで~」とはまた趣が違いますが、知らないまま終わるというおざなりから覚醒しなければならないと思いました。

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第1章 外国人から見た天皇

(65ページから)
日本の「人種差別撤廃の提案」は世界秩序への挑戦にほかならなかった。

 ここまでの話で、アメリカ人にとって天皇はとても奇異なもの、アメリカ人の価値観ではなかなか理解できないものに映るということをわかっていただけたと思います。
2000年以上も万世一系の血を受け継ぎ、世俗の権力から一定の距離を置いて、腐敗せず、ひたすら国民の安寧を祈り続ける天皇という存在は、ローマ教皇ともイギリス王室とも違う、世界で唯一無二の存在です。

 どうしてこのようなシステム(とあえて言います)が生まれ、脈々と続いてきたのか、はっきり言って謎です。世界で一国だけ突出した長い歴史を持ち、戦後のGHQ占領期以外には他国の支配を受けた歴史をもたない、日本という特殊な国だからこそ紡がれた「奇跡」としか言いようがありません。~~~~

 黒船の出現で半ば強制的に開国を迫られた日本は、欧米列強に飲み込まれないため、やむなく富国強兵と殖産興業を推し進め、日清、日露戦争に勝利します。そして第一次世界大戦でも戦勝国の一つとなり、世界と肩を並べるまでに成長しました。

 ついに世界の一等国となった日本でしたが、ここで思わぬ発言をするようになります。第一次世界大戦後、国際連盟を発足させる目的で開かれたパリ講和会議で「人種差別撤廃」を打ち出したのです。この発言に欧米列強は驚きました。日本にとっては当たり前のことだったのかもしれません。実際、有色人種の日本人は、アメリカで排日運動の激化に苦しめられていましたし、現在の価値観で考えれば「人種差別をなくそう」というのは至極まっとうな主張なわけです。

 ところが、当時は時代が違います。人種差別の撤廃とは、白人国家による植民地支配の否定を意味します。つまり間接的に「これからは植民地をなくしましょう」と言っているようなもので、それまで欧米列強が約400年、コロンブスのアメリカ上陸から数えれば約450年にわたって築き上げてきた経済基盤を破壊しようとする「世界秩序への挑戦」にほかなりません。それがいかに破壊力のある発言だったか。現在世界の覇権をめぐって米中間で熾烈な貿易戦争が繰り広げられていますが、日本は植民地をもつ欧米列強の国々に、いきなり先制攻撃のミサイルを撃ち込んだようなものです。

 「ついこの間まで不平等条約を結ばされていた劣等人種の三等国が、正義を振りかぎしてわれわれにたてつこうというのか!」
 これが、当時の傲慢な白人の、日本に対する紛れもない本音でしょう。アメリカとイギリスにしてみれば、ここまで「日本を育ててやった」という感覚がありますからね。石油を売り、軍艦を売り、そのうえ日露戦争の資金も用立てて、尻拭いまでしてやったのに、この恩知らずな振る舞いは何なのだと。あるいは、「日本はあんなことを言っているが、本当は中国大陸や東南アジアの資源を独り占めしようと企んでいるのではないか」と邪推したのかもしれません。

 そこからアメリカとイギリスは日本を疑うようになり、ひいては、「日本は自分たちの繁栄を邪魔する国」「いずれ排除しなければならない危険な国」と考えるようになったのだと思います。

 さらに日本にとって不幸なのは、ここでも誤解が生じているということです。日本が人種差別撤廃を叫んだとき、列強はそれを字面どおり、長年続いた秩序への挑戦だと受け取りました。しかし、おそらくそれは建前で、本音は「日本人差別をやめてください」と言いたかったのだと思います。でも、自国のことだけ主張するのはどうも格好がつかない。だから「人種差別撤廃」という大義名分のもとに大風呂敷を広げてしまった。「自分さえ良ければいい」というのは、日本人の美徳ではありませんからね。後の大戦でも「大東亜共栄圏」や「八紘一宇」を大義として掲げていたように、日本人にはそういうところがあります。

 とはいえ、実際はどうかといえば、「白人の植民地を奪い取ってやろう」とか、「これからは日本が覇権を握って世界を支配しよう」などと、日本は夢にも思っていないわけです。
その辺をうまく説明することができていれば、歴史は変わっていたかもしれません。

 この日本の発信力のなさは大問題です。国益を損ねるどころか、国体を破壊するレベルだったわけです。日本人は「本音と建前」や「阿吽の呼吸」を使って、国内では素晴らしいコミュニケーション能力を発揮しますが、そんなものは海外では通用しません。
しかも、ただでさえ日本は鎖国で長い間、諸外国との交流が途絶えていたのですから、相手にしてみれば日本が何を考えているのか、何をしようとしているのか読めない。不透明なわけです。日本はもっと、自分たちの文化や考え方を相手に理解してもらえるよう、丁寧に説明する必要がありました。外交は相手のことを理解するだけではダメです。自分たちのことを理解してもらう努力が、それ以上に大事なのです。

 慰安婦の問題がいい例ですが、国際社会に対してこちらの立場と主張を明確にしていかなければ、相手のいいように利用されるだけです。勝手な解釈をされないように、もっとはっきり誰にでもわかるように、情報を発信していく必要があります。そして、世界中から誤解を招いた、こういう日本の「日本的な態度」こそが、国体を破壊しかねない事態にまで自国を窮地に追いやったという現実を、いまこそすべての日本人が理解するべきです。

おわりに

 私が初めて日本の土を踏んでから、五〇年近くが経とうとしています。ひょんなことからテレビに出演するようになり、講演会の講師として呼ばれるようになったおかげで、これまで幾度となく日本中を飛びまわってきましたが、四季の変化に富む素晴らしい景観とともに、さまざまな各地の文化にもふれてきました。

 そうするなかで気づかされるのは、日本の伝統文化に、いかに天皇や皇室由来のものが多いかということです。皇室自体が日本の神話や歴史と一体となった存在であるだけに、当然のことなのかもしれませんが、序章でもふれたように、神社の多くが皇室と何かしらゆかりがある神さまをお祀りしていますし、元日やひな祭り、結納……など、宮中行事が民間に広まったとされるものも多数あります。京都の祇園祭や青森のねぶた祭りをはじめ、由緒あるお祭りの多くが、天皇や皇室の歴史と関係があります。

 和歌にしても、「小倉百人一首」には天智天皇や持統天皇など、天皇が八人、親王・内親王が各一人の、計一〇人の皇室の歌が選ばれています。折にふれて歌に詠む習慣が皇室になければ、和歌が日本の文化として発展・存続することはなかったでしょうし、もちろんそこから連歌や俳句が生まれることもありませんでした。おそらく、平安時代の優雅な貴族文化も存在せず、現存する世界最古の長編小説ともいわれる『源氏物語』も誕生しな
かったでしょう。

 私のような外国人にとっては、日本文化を知れば知るほど、その背景に天皇や皇室の存在が深くかかわっていることに気づかされるのです。
その一方でヽ日本人は普段、こうした伝統文化や行事において、あまり皇室由来である ことを意識していない、あるいはもともとそのような知識がないようにも感じます。

 宮内庁のホームページによれば、天皇陛下の宮中祭祀は主要なものだけで二四もあります。外国大公使の接受、国会開会式へのご出席や園遊会、国賓のための公式晩餐会などのご公務はテレビでもよく目にしますが、それ以外にも見えないところで、「国民の幸せのための祈り」をなされているわけです。

 元旦はまだ日も昇らぬうちの寒冷のなか、天皇は伊勢神宮、歴代天皇・皇后御陵、四方の神々を遥拝し、国家安寧、国民の幸福や豊作を祈る「四方拝」に臨まれるそうです。

 宮中祭祀でもっとも重要なものが一一月二三日の新嘗祭で、天皇はご自身が栽培された新穀などを皇祖はじめ神々にお供えになり、神恩を感謝されたあと、ご自身もお召し上がりになるそうです。
そして一二月三一日には皇族をはじめ国民のためのお祓いである「大祓」が行われますが、その数時間後には新年元旦の「四方拝」が行われるわけです。

 こうした天皇の「お祈り」について、どれだけ日本人が知っているのでしょうか。神聖な儀式ですから、テレビや写真にはなかなか映せないとは思いますが、「日本国及び日本国民統合の象徴」という存在なのですから、祭祀の内容や意味、日本文化とのつながりなどについて、学校教育などでもっと教えるべきでしょう。

 もし、天皇や皇室について、あるいはその由来が記された日本神話について、日本人がかつてほど学ばなくなった、知る機会が少なくなったとするならば、それはやはり、戦後のGHQ の占領政策が、いまも大きな影響を与えている証拠だと思います。

 本書で述べたように、マッカーサーは「天皇制」を残した一方で、多くの皇族が皇籍離脱を余儀なくされる、皇室弱体化の施策も行いました。また、GHQ はWGIPという洗脳工作によって、日本人に軍事アレルギーと自虐史観を植えつけ、自国への誇りをもてないような国にしようとしました。いずれも自分たちの占領統治と覇権争いに都合のいい状態をつくるためでした。

 私はこれまでの著書で、WGIPの存在とその悪影響を暴き、日本人に対してその洗脳から解き放たれ、自国への誇りを取り戻すべきだと説いてきました。それは、日本人がこれまで守り育ててきた素晴らしい伝統や文化、あるいは日本人の勤勉で奥ゆかしい民族性を、今後も大切にして、次の世代に引き継ぐべきだと考えているからです。

 長年日本に暮らし、日本の伝統文化や日本人の美風に魅了されてきた外国人として、同時に、GHQ を通じて占領政策を主導したアメリカの出身で、WGIP や新憲法を日本に抑しつけた国の人問として、隠されてきた真実を知らせることが私の務めだと考えています。

 そして、その日本の文化や国柄を語るうえで欠かせないのが、天皇や皇室の存在なのに、それが戦後教育やメディアでないがしろにされていると感じたことが、今回、本書を著した大きな理由でした。
本書の題名どおり、万世一系というのは「世界の奇跡」です。

 もっとも、東日本大震災をはじめ大きな災害が起こった際に、天皇陛下が被災地を訪問され、被災者一人ひとりにお言葉をかけられ、また国民も、そのお姿をありがたいと感じ、勇気づけられる光景を見ると、日本人と天皇との絆は、戦後も確固として続いていて、「それほど心配することはないかもしれない」と思うときもあります。

 外国人である私には、「日本人にとっての天皇」について、どうしても真の理解が及ばない部分もあると思います。しかしながら、日本人にとって天皇・皇室が決定的に重要な存在であることは、外国人だからこそ客観的にわかります。本書は、そんな外国人から見た天皇論でもあります。
 本書がそれぞれの読者の方にとって、「日本人と天皇」の関係をあらためて考えるきっかけとなれば、たいへんうれしく思います。

  • 年の初めにこの意メッセージを読むことができたことに感謝です。この奇跡の国に生を受けたことに、そしてアイリング管長がかつて日本について予言したことは、昨年名古屋にみえて「今でもその予言は有効である」と証しされた十二使徒のソアレス長老の言葉を思い出しました。そろそろ当たり前のようにそのことが起きていい時期にきていると感じ始めている昨今です。いい年にしたいですね。 -- おーちゃん 2020-01-01 (水) 00:04:57
  • コメントありがとうございました。この本が多くの人たちの目に留まり、読み始めると日本人の持つ心の琴線に共鳴が起こることを願います。 -- 岸野 みさを 2020-01-03 (金) 21:00:57

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