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14052901増井美津代

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緑の木の葉も青い空も灰色
―インドのストリートチルドレンに仕えてー  
 
 
増井 美津代

 昨年の夏とても感動的な夢をみました。その夢に影響されてNICEという日本ボランティア団体の海外ワークキャンプに参加する機会がありました。インドのストリートチルドレンの支援のためのワークキャンプです。昨年の12月17日から31日までの2週間でした。初めはアジアの一つの国という程度の軽い気持ちでいたのですが、外務省の治安情報を確認しているうちに足がすくんでしまい、一人で行くのは危険だと分かりました。
夫が共に行ってくれることを願い、話しましたが「イヤだ」と断られました。
 しかし祈りによって夫は思い直し同意してくれました。初めて予防接種を5つ受けました。狂犬病、肝炎、破傷風などで、それによって少し体調を崩しました。マラリヤの薬も持参して現地で飲みました。あらゆる準備を整えキャンプに備えました。

 航空券は安価な中国東方航空を使いました。中国語は全然話せないので大変でした。
 インドのカルカッタは昔首都でしたが今は違います。名前もコルカタと言います。マザーテレサの施設のある町です。人口450万人、インドで3番目に大きい都市です。
 インドはヒンドゥ教が主流です。カースト制度が残っているので人口約12億の約8億人が一日2ドル以下の生活をしているのですがアジア最貧国9か国には入っていません。

 コルカタの空港に到着したとたん、イヤな異臭を感じました。心の中で、はや「あーヤバイ。2週間もここにいなくちゃいけないのか」と思いました。空港を出ると夜なのに人々が目的も無くそこらへんにたむろしていました。なんだか怖く感じました。

 次の日オリエンテーションを受けて活動が始まりました。写真撮影は禁止、カメラなど価値のあるものは人目にさらさない、人前でサイフを見せてはいけない、と色々な注意事項を受けました。全て英語のオリエンテーションで日本人は私と夫だけで、現地人Ⅰ名、韓国人2名途中から中国の若者も1名参加しました。全て英語のやり取りでうまく話せない私は身振り手振りで何とか通じ、彼らとの会話を楽しむことができました。午前9時から12時までの3時間の活動でした。時間が短いと感じましたが私たちには丁度いいくらいでした。

 コルカタの駅近くに木が生えていて資材が置かれていて、一つの何かの建物が建っていて、
道沿いに壁が造られている中で沢山の人々が生活していました。彼らの中にはコミュニティが作られているようでした。
 インド人の30歳後半のKamalaさんという女性が一人でストリートチルドレンのボランティア団体SMILEを立ち上げました。彼女はベンガル語を話す地元の人で、10年間それをやっているということでした。ストリートチルドレンといっても母親はたいていいるそうです。ほとんどの人は貧しくて栄養が足りていません。身長も日本人に比べて低いのです。インドでは食料品を含めて生活物資が不足しています。

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 そこのスラムには20人くらいの子供たちがいました。私たちが日本から持って行ったもの全てに興味を持ちます。濡れティッシュを出すと子供たちが一斉に手をだして、僕にも私にも「くれ」と言います。日本から傷用の薬を持って行きました。子供達は、塗ってくれと傷を見つけてせがみます。除菌テイシュもあっという間にたくさんの小さな手に渡ってしまいます。日本から沢山のものを持っていけたらいいのになあと思いました。
 風船を持っていきましたが一袋では足りません。「バルーン、バルーン」と催促されました。折り紙も楽しんでくれました。シャボン玉も持っていき、いっしょに遊びました。
 
 最初、子供たちの頭にシャンプーを付けて水で洗い、手足をセッケンで洗います。水が冷たいので頭を洗うことを嫌がる子もいますが虫が湧くので洗います。サンダルを履いていない子がほとんどなので、洗ってもすぐまた汚れます。活動は数字の勉強、折り紙工作、紙芝居をやりました。活動が終わると昼食にします。子供たちを座らせて、1-2枚のパンと一杯のミルクを配ります。
皆の足は本当に細いです。服も何日も同じ服を着ています。でも皆は普通の無邪気な子で歯が白くてきれいです。笑顔が素敵で、人懐っこいです。抱っこをせがみ、何人も首にしがみついてきます。

 町中を通ると道に行き倒れの人を見かけました。

 日曜日コルカタに一つしかない末日聖徒イエスキリスト教会に行ってみると、宣教師はいなくて10人弱の教会員がいました。その中に韓国からきた若い末日聖徒の女性がいました。何をしているのか聞いてみるとマザーテレサの施設で6か月間ボランティアをしていると話してくれました。私もマザーテレサの施設に行ってみたいと思いましたが、2週間の日程の中に入れることはできませんでした。
 彼女から話を少し伺いました。彼女たちの仕事はコルカタの町に出て行き、道に倒れている人を見つけ病院に連れて行きます。でも大体は助からないそうです。確かに、駅のホームで横になっていた人も道で行き倒れていた人も、生きているのか死んでいるのか判別できませんでした。

 コルカタの空気はとても悪く大気汚染は中国の2倍だと言われています。古い車が何台も町の中を走っていて排気ガスの臭いが充満しています。
緑の筈の木の葉は埃が積もって灰色、青い筈の空も灰色に淀んでいます。町にはゴミが散乱していて、川は真っ黒でメタンガスがブクブク発酵しています。その中にアヒルが泳いでいるではありませんか。
 魚を売っている市場のようなところでは蠅が飛び交い、牛乳はビニール袋に入れて店頭で売っています。それでも道路沿いの商店にはショウウインドがあって、美味しそうなお菓子が並んでいました。でも、この生活環境から推し量ると、とても買う気にはなれませんでした。カラフルなショールを売っている店があったので一枚買いました。材質は麻で円に換算すると600円でした。道路の脇では豊富な野菜を量り売りで売っていました。野菜が豊富なことには驚き、野菜を作っている農家や野菜畑を見たいと思いました。野菜という主の恵みで劣悪環境に暮らしているインドの人たちが養われていることを知って主に感謝しました。ニューデリーの大気汚染はどうなのかKamalaさんに尋ねると、似たようなものだ、と言われて落胆しました。

 インドに行くと下痢をすると言われていましたが案の定夫は下痢をして腹痛と発熱に襲われました。3日間苦しみました。私は幸いお腹を壊しませんでしたが、毎日ヨーグルト菌を飲んでいました。それでもお腹はゴロゴロ鳴っていました。食物を露店では買いません。ホストファミリーの食事も、食事の前には必ず手を消毒、大丈夫かな、と思いながら食べました。冷蔵庫がないので飲み水はそこの家庭に備え付けてあるボトルサーバーから自分で汲んで飲みました。歯みがきもその水を使うなど毎日の生活が緊張していました。冬なのに大きな蚊も飛んでいて香取線香と香取マットは大いに役に立ちました。

 まず、ホストファミリーの家族ですが、彼女はおそらく38歳位でしょうか。結婚はしていなくて、ボーイフレンドと言う方と、同じ家に住んでいました。彼は働いて収入を得ています。メイドさんの家族も一緒に住んでいて、結構大きな家です。

 食事の時はスプーンをボランテアの人達には出してくれましたが、家族の人達は手で食べていました。彼らは宗教的な信条から肉は食べません。それで私たちも2週間肉は食べませんでした。卵と牛乳とヨーグルトは出てきました。主食はチャパテイと呼ばれ茶色の小麦粉を水でといて焼いたものが出ました。時々ご飯が出ましたが、タイ米のようにパサパサしていました。ほうれん草のドロドロしたソテー。美味しく感じられたのは、インドのスパイスを使ったジャガイモとオニオンの炒めたものでした。朝はたいてい、プレーン味のコーンフレーク、牛乳、ざらめの砂糖、食パンにジャム、ヨーグルトとゆで卵。卵の黄身はすごく薄い、てな感じです。

 ホストファミリーのシャワールームに水洗トイレがありましたが、水は流れるのですが、大便が流れないので、いつも臭くて嫌でした。また、水のシャワーに身を任せるのはその都度覚悟がいりました。

 プロジェクトの現地では、空き地に古びたござを敷いてその上でお母さんが赤ちゃんにお乳を飲ませていました。いつ見てもお乳を飲んでいるし、小さいので生まれたばかりなのかなと思っていましたが、どれくらいか聞いてみると8ヶ月と言っていました。私は驚きました。きっと食べるものが十分でないのでお乳も出てないのだろうと思います。その上に男の子がいるのですが、私はその子は、まだ歩けないので8ヶ月位だろうと思っていましたが、3歳だと聞いた時にはもっと驚きました。彼はきっと歩けない障害を持っていると感じました。彼はいつも黄色い服を着ていました。下は何もはいていません。お尻がちっちゃくてどうみても1歳以下にしか見えません。その子のことは忘れません。お昼の食事の配給の時、食パンがまだ口に入っているのに、更に口に入れようとしていて、喉がつまるのではないかと心配しました。早く食べないと他の子が横取りしてしまうからです。午前中綺麗に洗った手もすでに汚れていて、その手で頬張っていました。泣いていたその子を誰も構わないので、私が抱っこしてあげて揺らしていたら私の腕の中で寝てしまい私のジャケットに包んでお母さんの所に運んだ後で、そのジャケットを返してくれました。返ってくるとは思わなかったので少しびっくりしました。ある時、その子の体を私のタオル製のハンカチで拭いたら雑巾のように汚くなりました。またある時、体を拭かれるのが嫌だ嫌だと言っていましたが、歌を歌いながらやったらにっこり笑ってくれました。嬉しかったです。

 イエス様はこの子も愛しておられると感じました。

 彼らの生活はその日暮らしの生活です。畳一枚位のゴザの上には僅かな調理器具位しかありませんでした。所狭しと、その家族が身を寄せているのです。

 クリスマスのためのプレゼントを現地で調達して100個作りました。70個配りました。
 中に入れたのは風船Ⅰ個、飴Ⅰ個、ニコニコマークボールⅠ個、ポテトチップスⅠ袋(買う時、すでに賞味期限が切れていたものしかありませんでした)お婆ちゃんも手を出してきました。お昼時には近くにいる薄汚れた服を着ているお爺ちゃん(浮浪者みたいな人)も手を出してくるので食パンを渡しました。

 活動の最後の日にシャワーする時間がなく空港まで送ってもらいました。その日の朝、子供たちが腕を私の首に廻して抱きつかれたところがかゆくてしかたがなかったのですが
我慢しました。銃を持った警備員が空港の入口に立っていて、その間を通ってエアポートに入ったのですが、結局、飛行機はその日は飛びませんでした。そのかわり、航空会社の手配で5つ星のホテルに泊まることが出来ました。そこでお湯のシャワーを久しぶりに浴びることが出来てホッとして神様に感謝を捧げました。

 日本の我が家に着いて玄関を開けた時「天国だぁ!」と思いました。日本では水道の飲み水を疑うことはありません。外で食事をしても安心して食べられます。コンビニやスーパーでは何千種類の食料品が販売されていて好きなものを買うことができます。停電もめったにありません。日本の国がいかに恵まれているかをつくづくと教えられました。

 しかしストリートチルドレンのための奉仕をしようという気持ちで行ったのですが、彼らから無邪気な愛と笑顔をもらいました。神様はインドの人たちも養っていて下さることも学びました。井戸がその辺に湧いていて、人々は無料で自由に水を使うことができます。野菜は豊富にあります。ただ、住居やインフラが整備されておらず、衛生面が悪いのです。

 彼らには住所や番地がありません。NICEに手紙を出しました。プロジェクトでは特定な人だけに何かのプレゼントをしてはいけない決まりでしたが、7人の子を持つお母さんの貧しさを見かねて、最後の日4000円を渡そうとしていたのですが、あいにくその日は来ませんでした。そこで日本に戻ってからSMILEに10000円札1枚とそのお母さんに5000円札1枚を二重にした封筒に入れて郵送しましたKamalaさんにメールで問い合わせても一向に郵便物が届かず、結局それはどこかへ行ってしまったのです。

 日本から何かを送るのは難しいのです。持って行くしか方法はありません。

 ピリピ人への手紙4章11―12でパウロは次のように宣べています。
「わたしは乏しいから、こう言うのではない。わたしはどんな境遇にあっても、足ることを学んだ。わたしは貧に処する道を知っており、富におる道も知っている。わたしは飽くことにも飢えることにも富むことにも、乏しいことにも、ありとあらゆる境遇に処する秘けつを心得ている」

 貧に処するというのは簡単なことではありません。
私が彼らのためにできることは本当に少ないですが、またいつか機会があれば行きたいと思います。インドでの経験は私を謙遜にさせてくれる神聖なものでした。
 また、神様の恵みがこの日本に豊かに注がれていることを忘れないように感謝の心を養いたいと思います。
 

  • 貴重な体験談を有難うございました。一度も行ったことのない地であり、社会情勢ですので、興味深く拝読しました。 -- 昼寝ネコ 2014-05-29 (木) 19:53:53
  • 増井美津代さま
    「体を拭かれるのが嫌だとぐずっていた子が、歌を歌いながらやると、にっこり笑ってくれました」ぐずっていたのに歌を聞いたとたん、にっこりするなんて、魔法のような歌声ですね。にっこりする子とそれを見て微笑み返しをする増井姉妹のツーショット、これこそがマザーテレサが実現し人々に継承してほしいと望んだ光景ではないかと思います。
    姉妹はご自身が尊敬するマザーテレサの遺志を受け継いでいる女性だと思います。ご自分の7人のお子さんを産み育てあげた、確信に満ちている姿がそこにあるように感じました。 -- 岸野みさを 2014-05-29 (木) 21:34:33
  •  とても貴重な経験をされましたね。というと軽く感じますが、心の中ではとても重いものを感じています。 
     イエス・キリスト様の愛と奉仕について、憐れみについて考えさせられます。マタイ25:35-40に書いてあるような奉仕ができるように霊的な自立ができればと思います。 -- 丸山 幹夫 2014-05-29 (木) 22:29:44

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