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2018.06.18 自分史・家族史「祝5周年記念「陸男(りくおとこ)」」 投稿者:向谷亮

大学に入学した時に、色々な所に旅行がしたくて、「ユースホステルクラブ」という名称のクラブに加入しました。確かに若者のための宿であるユースホステルにもよく宿泊しましたが、かなりの場合はテント泊でした。噂によれば、野外活動のクラブを創ろうとしていた先輩たちが、部として補助金がもらえるという事で、幽霊クラブだったユースホステルクラブを乗っ取った?とのこと。しかし、出所がそうなので、ワンダーフォーゲル部や山岳部のようなハードな山行活動ではなく、野外活動は何でもOKというクラブで、何でもありのクラブでした。そんな中途半端な成り立ちのクラブでの活動だけあって、山に行くにしても、着ている服装はバラバラ、持っていっている装備も貧相、という有様でとても「山男・山女」という感じではありませんでした。また「日本アルプス」にあるような有名な山は、お金も装備もスキルもないので、遠い遠い憧れの存在ではありました。その代わり身の丈にあった山々を巡っていた関係で、何か命の危険に遭遇したりというのは全くなかったですし、大学4年の間大きなケガなどもすることはありませんでした。そして周りが自然だらけという島根というロケーションだったので、海辺でキャンプしたり、大きな湖を歩いて一周したり、近くの低山を地図片手に巡ったりと、登山以外に様々な楽しみ方ができていました。確かに高い山の澄み切った空気や達成感、そして頂上から見る事の出来る雄大な風景というのは何ものにも代えがたいものです。一方で低山やそして海辺で感じる草いきれや潮の香りも心を潤すものではありました。しかし当時を振り返ると、やはり指向としては、なるべく高くて有名な山に行きたいと思っていたのは確かですし、おそらく大学が長野あたりにあったら、立派な山男!になっていたことと思います。ところが面白い事に、最近はそう思わなくなっている自分がいます。体力が衰えてきたせいもあるのでしょうが、身近なところで色々な楽しみを見つける、というクラブの活動をしていてよかったなと思うようになったのです。
それは、青少年と一緒に野外活動をする機会が増えたからだと思っています。青少年の自然に対する適応度は本当に様々です。虫がいるからキャンプに行かない~、という子から川にザブザブ入って、ペットボトルで作った捕獲器で魚を捕まえる子までいます。高度差百メートルだけ歩いただけでバテてしまう子から、富士山をほぼノンストップで登ってしまう子までいます。そんなバラエティに富んだ青少年のグループの一人一人が、どうやったら自然の中で楽しんでもらえるかを考える事が必要とされる時に、大学時代のクラブ活動で、様々な形で自然に関わっていた経験が蘇ってきて、何かに偏らずに出来る事でやろうと考えられるのです。
もし私がバリバリの山男だったら、自然を感じてもらうために、山に連れて行きたくなっていたでしょうし、海の男なら海での活動を主にしたくなっていたかもしれないと思うからです。でも私は「山男」でも「海の男」でもなく、強いて言えば「陸男(りくおとこ)?」なので、どんな形でも自然の中で遊べればOKだと思う事が出来ていて、それが青少年の活動を考える時の柔軟性を生み出していると感じます。
また、貧相な装備のおかげで、山の中でキャンプする時に学ぶ事が多くありました。いわく「キャンプに西瓜を担いで持っていってはならない。美味しいけど持ってゆく人が大変」、「高野豆腐を豆腐の代わりにマーボ豆腐は作れない。高野豆腐が全部汁を吸ってしまうから」、「焼きナスを山の中のキャンプ場で作ってはいけない。
焼くのに大変だし、少しの量しかできない」「シュラフであまりに寒かったら、新聞紙を丸めてシュラフの中にいれると暖かい」「ジーパンは雨に濡れると足が上がらなくなるから、それよりもジャージを穿いた方が良い」「山の中では同じTシャツを毎日着ても大丈夫。その代り塩が表面に浮き出てくる」などなどです。
お湯を入れてしまえば出来てしまう軽量な食品や、バルブをひねるだけで火がつくガスストーブ、薄くて暖かい衣類などなど、自然を楽しむために便利なグッズが今はたくさんあります。そんな装備で有名な写真で見かけるような高い山に行く事も素晴らしい事でしょうが、貧相なゆえに多くの失敗を重ねながらも、自然の中を歩き回った経験は、物が無くても、工夫することで何とかやってゆけるという楽しさも教えてもらったような気がします。そしてそのような楽しみを青少年には伝えてあげたいなとも思っています。
これからもバリバリの「陸男」として、色々なものに手を出し、そして頭を使って工夫をしながら、青少年たちと自然の中で大いに遊びたいものです。

  • 強い者にも弱い者にも対応できるように、主によって備えられた半生を穀粒5周年記念に分かち合って頂きありがとうございました。人生の後輩である青少年や私ら老齢者の憧れであり、模範でもあるその働きに賛辞と感謝を送ります。そして陸男は普通の老齢には至らないかと推測します。検証できないのが残念ですが… -- 岸野みさを 2018-06-20 (水) 15:40:23

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