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2021.02.02 詩・散文「老い検証」 投稿者:徳沢 愛子

めがねで視界が晴れる しあわせ
頭頂の疎林を鬘で隠せる しあわせ
口紅を塗ると少々美人になる しあわせ
入歯で沢庵を噛めた しあわせ
二回目で聞き返せた しあわせ
目覚めうーんと伸びても
痙攣が起きない しあわせ
階段をトントン降りられる しあわせ
トイレへ走って洩れなかった しあわせ
TV体操で屈伸運動ができた しあわせ
友が金時豆の煮物を持ってきた しあわせ
春には桜 夏には西瓜
秋にはちいさな旅 冬は寒ブリ
今日一日可もなく不可もない しあわせ
今日一日誰とも争わなかった しあわせ
雨が降る 雨上がる
風が吹く 風がやむ
日が昇る 日が沈む
死んでも生きてる父母のいる しあわせ
昨日の嫌なことを忘れている しあわせ
ずっと昔の思い出鮮やかな しあわせ
死神が後ろに迫っていると知る しあわせ
孫子が婆ちゃんと呼ぶ しあわせ
こなた あなたのために祈る しあわせ
しあわせ指折り数えて手に余る しあわせ
しあわせがしあわせを呼ぶ しあわせ

老いはなんという感受性
なんという謙虚さ
何という充足
なんという空っぽ
そうして
何というしあわせの寂しさ

(日日草 75号より)

  • 指折り数えて20ものしあわせが「なんという空っぽ」という逆転は衝撃的です。解説してほしいところです。 -- 岸野 みさを 2021-02-03 (水) 14:35:20
  • 確かに。私も知りたいですね。でも素敵な詩ですね。どんなことにも感謝の思いを抱けるなら、こんな幸せなことはありません。人生の終わりが見えてきた時に、果たしてどのような自分でいられるか、悔いのないものにしたいものですが。 -- おーちゃん 2021-02-03 (水) 18:53:07

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